17.ウォーキングベースを弾けるようにする
前回で、「ウォーキングベースらしさ」というのが、何となくイメージできるようになりました。
かといって、これだけの知識では、すぐに弾けるようになりません。 なぜなら、4つの音の中に「らしいパターン」を理論的に押し込めるという作業がまだ終わってないからです。
よく、ジャズは4ビートって言います。 「ビート」ってぇのは、日本語で言うところの、え~と何でしょうか~「拍」でしょうか。 そして、ベースはこのビートに乗って弾くわけです。
つまり、1拍目、2拍目、3拍目、4拍目、に何を弾けばいいのか?ってことです。
そして、今回はそれぞれの拍で弾く音を限定してしまおうってことです。 それは、もうかなり強引な作業が予想されます。 まあ「何を弾くか?」なんていつまで迷ってたって、ラチがあきませんからね~
コードの進行は、とりあえず5度圏(4度進行)に限定して話を進めることにします。 なぜなら、ジャズのコード進行は80%以上が4度進行だからです。(さっそくの、すごい決め付けです。) まあ、確かにそれ以外のコード進行ってのもあります。 でも、そのときは何とか工夫して乗り切りましょう。 どうやら、ポイントさえ押さえておけば、あとは適当でも構わないみたいです。
まず、鍵盤でのウォーキングベースの弾き方をちょっとだけ。 基本的にサスティーンペダルは踏みません。 そして、いわゆるテヌートっていうんでしょうか、次の鍵盤を弾くまで前の鍵盤から指を離さないようにして、音が切れないように弾くといい感じになります。 さらに、4分音符の中に3連符を感じながら弾いていきます。
それでは早速、1拍目から。
CDなどで実際の演奏を聴くと、なんだかルートを1拍目に弾いてることが多いような気がします。 やはり「ルート」ですからね~まず、1拍目に弾きたいって気持ちよ~く分かります。 それにルートが鳴っていると、なんだか落ち着くみたいなところってあるじゃないですか~ まあ、教則本でもそれが基本だ~みたいなことを言ってるし。
ってことで、1拍目はルートで決定!
こんな調子で次から次へと決めちゃいます。
次は、4拍目です。2拍目と3拍目は都合により後回しにします。
どうでしょうか?次のコードへの「アプローチノート」を弾くってのは。 次のコードのルートへ半音上からアプローチするとこうなります。
次のコードのルートへ半音下からアプローチするとこうなります。
どの教則本にも載ってるし、私も「らしくて」カッコイイな~って思います。 多分、アプローチノートを弾いた瞬間にちょっとだけ「えっ!どうしちゃったの?」って思う「ちょっと外れた感」がジャズっぽいんじゃないでしょうか。 そこから、ルートに半音で滑らかに移動して安心するみたいな~
ということで、一気に4つの音のうち、半分の2つが決まっちゃいました~
そして、いよいよ2拍目と3拍目です。
ここで前回でてきた「段々パターン」と「落跳パターン」の出番です。 それでは、まず、段々パターンを組み込んでみましょう。 1拍目と4拍目の間を段々にすればいいんですね~ なんとなく間を埋めると、こんな感じでしょうか。
段々93パターン
この「93」ってのは、2拍目が 9th 、3拍目が 3rd という意味です。 これも私が勝手に付けた名前なんで、他では通用しませんのでご注意ください。
さて、1拍目、2拍目、3拍目、4拍目、そして次のコードの1拍目と順に弾いてみます。 このとき、右手でテンションコードを弾くと、より「ジャズ」を感じることができます。
ところで、楽譜の「 C 」になってるところが「 Cm7 」だったらどうでしょうか? なんとなく、3拍目の 3rd を ♭3rd にしたほうがよく合うような気します。 やはり、マイナー系( m、m7、m7b5など )の特徴は、♭3rd だからってことなのでしょうか。
段々9♭3パターン
ということは、先ほどの「段々93パターン」はメジャー系( maj7、7など)ってことですね。
では、4拍目が「半音下」からのアプローチのときは、どうしたらいいのでしょうか?
コードがマイナー系だったら、「段々9♭3パターン」でも、このまま4拍目につなげていくことができます。
しかし、メジャー系のとき、強引に「段々93パターン」を使うと、3拍目と4拍目で 3rd を2回続けて弾くことになります。
まあ、こういうパターンもアリかな~とも思うんですけどね~ でも、どうせなら4つとも違う音を弾いたほうが、より段々ぽい?かもしれません。 しかも、マイナー系の特徴でもある ♭3rd の音を使いたくないんだったら、もうこれしかありません。
段々♭99パターン
ってことで、ここで段々パターンをまとめます。
- メジャー系のコードでは、「93」あるいは「♭99」を使用する。
- マイナー系のコードでは、「9♭3」を使用する。
ただし、メジャー系である 7 (ドミナントセブン)のときは「9♭3」でもいいような気がします。 多分これって、♭3rd = ♯9th(オルタードテンション) だからなのかもしれません。
そして、落跳パターンです。
これも、私が多そうだな~なんて思うパターンの中から独断で2つだけに絞りました。
落下パターン
いきなりオクターブ落下した後、 5th を弾いて、4拍目のアプローチノートにつなげるパターンです。
跳躍パターン
5th 、オクターブ上、の順に跳躍して、4拍目のアプローチノートに行くパターンです。
この落跳パターンは、ちょっと複雑そうに見えますが、慣れれば段々パターンよりもずっと楽に弾けます。 しかも、ルートと 5th しか使っていないので、メジャーとかマイナーに関係なく使えます。 ただし、m7b5のように 5th が♭になっているコードの場合、 5th を ♭5th にします。
これで、1~4拍目の全てに弾く音が決まりました。(というか勝手に決めちゃいました~) このくらい限定すれば「何を弾けばいいのか分からない」ってこともなくなり、とりあえずは先に進むことができます。 しかも、4拍目や2拍目と3拍目に選択肢があるため、多少のバリエーションも楽しめ、そこそこ「らしく」聞こえるはずです。 ということで、私はこれを「ウォーキングベースの基本パターン」とすることにしました。
後は、このような方法で作ったウォーキングベースラインを、いろいろな曲に応用しながら弾いていけばいいだけです。
でも、実際にやって見るとよく分かることなんですが、「どのパターンを使おうか」とか「運指をどうしようか」なんてことばかり考えてしまいます。 その挙句、なんだか分からなくなって嫌になってヤメてしまいます。 もうかなりの確率でそうなります。絶対そうなります。(私がそうでしたから) どうやら、初心者にとっては「いきなり曲に応用」ってところに多少の無理があるようです。
ということで、私は手や指にパターンを馴染ませることから始めました。 その実際に私が行った練習方法も、前回の予定どおりまとめてみました。 どうぞ興味がある方は「練習ノートのジャズピアノ濃縮編」をご参照ください。
現在の私は、今回ご紹介した最低限の「基本パターン」よりもう少しだけ多くのパターンを使ってラインを作っています。 多分、誰でも徐々にそうなって行くんじゃないかって思っています。
2拍目と3拍目の部分に選択肢があるっていっても、たった2つの音ですからね。 何回も弾いてりゃ~当然飽きてくるってもんです。 で、他のパターンも取り入れてみたくなるってのが自然な成り行きです。
まず、先ほどの段々パターンに、「段々下がるパターン」を追加するなんてどうでしょう。
さらに、思い切って4拍目のアプローチノートをヤメてしまったりとか。
コードを分散したような単純なパターンも、ときどきだったら面白いかもしれません。
1拍目にあえてルートを弾かないってのはどうでしょうか。
実際、2小節に渡って同じコードなんてときに、2小節目の1拍目でルートを弾かなかったりします。(当然、弾いても構いません。)
スケールを使う方法もあります。
リハーモナイズなんてのもあります。
当然、これら以外にも方法はたくさんあり、ベーシストは独自のフレーズを作っているのです。 だから、いろいろ研究してみるのも面白いかもしれません。 しかし、奥が深いですね~ウォーキングベースっていうのは。 そんな簡単には、極められそうにありません。 というか~私はベーシストになるわけではないのですから、こんなもんでいいんですよねっ!
え~と、今回はこんなところでしょうか。 なんか忘れているような気もするんですが~
あっ!そうだ。前回「ちょっと置いておいた」件がまだでした。
1小節内にコードが2つある場合は、すご~く簡単だったりします。 単純に、先ほどの2拍目と3拍目ようなパターンを無くして、ルートとアプローチノートだけにします。
それから、ときどき1小節に5音以上弾くと、単調なベースラインにメリハリが付きます。
これは、ちょっとカッコいいので、私もよく使います。
そんなわけで、今回も成り行きまかせの書きなぐり風練習ノートはここまでです。
さて、次回は何にしましょうか~ 予告したりすると、それをやんなくちゃいけないから嫌なんですよね~ ってことで、不明にしときます。っていうかまだ何も考えていませ~ん。 それじゃ~今回はこんなところで。