24.ドミナントのテンションがまる分かり

前回までの内容でさえ、「あ~もう、何が何だか分からないよ~」って頭を抱え込んで叫んでしまった人、全然大丈夫です。 「理解できないのは、きっと頭が悪いからだ~」なんて、絶対に思ってはいけません。 まだ、これらのことが必要な段階というかレベルに来ていないというだけのことです。

だからと言って、「じゃあ、まだこんなの読まなくていいや~」って諦めるのは、ちょっと早い気がします。 理解できないまでも、「読んだこと」と「理解しようとした」ことは、多少なりとも頭の片隅に残ります。 で、理解できないということは、その記憶というか知識の断片が、他の事柄とつながっていない状態というだけのことです。 つまり、ジグソーパズルのピースが、バラバラになってしまっているのと似ています。

でも、ある日突然来るんです。そのパズルのピースが収まるべき場所を発見するときが。 「あ~なるほど~そういうことだったのか~」って。 もう、分かってしまえば、ものすご~く簡単なことで、逆に何でそんなことが分からなかったのか分からないほどです。

でも、そのパズルのピースが最初から無かったら、そんなことも起きません。 だから、読んだときに細かい部分まで完璧に理解できなくったって平気なのです。 最低限、何について書かれているかってことだけでも、覚えておけばそれでいいんです。

さて、それでは、今回もなんとなく始めましょうか~

え~と、大雑把に「スケール = コードトーン + テンション」みたいな考え方にも慣れてきたと思います。 かなり大胆に言い切ってしまったかもしれませんが、これはこれで、かなり便利な考え方なんですよ。 で、その考え方でいけば、ものすご~くいっぱいあるドミナントのテンションでさえも説明がつくってことです。

その前に、ドミナントのテンションのおさらいです。

「G7」って書いてあったら、どう押さえたらいいのでしょう?

なんか、このフレーズって、過去の練習ノートにも書いた記憶があります。 なので、ここでは簡単に。

コードトーンに、9、♭9、♯9、♯11、13、♭13度なんていう、テンションノートを、単独であるいは複数組み合わせて加えればいいんでしたよね。

だからその組み合わせの数は、もう天文学的な数字に・・・は、なりませんが~たくさんであることには違いありません。 もう、勘のいい人は、これだけでも予想しちゃうんでしょうね~ 「もしかしたら、そのたくさんある組み合わせの数だけ、スケールがあるのかも」って。 かなりいい線いってます。ただ、そんなにたくさんのスケールは必要じゃありません。

まず、コードトーンに、ナチュラルテンションの9、13度なんてのを加えてみましょうか。

「ミクソリディアン」っていうスケールです。 これは、ダイアトニックスケールなので超有名ですよね。

このスケールには、11度っていう音も入っているんですが、これはアヴォイドノートです。 アヴォイドノートというのは、そのコードなりスケールなりが持つ機能を壊す傾向にある音ってことです。 だからといって、絶対に使っちゃいけない音っていうのじゃありません。 経過音とかなら使って良いとされています。 すごく簡単に言うと、タラタラッと8分音符程度の長さでフレーズを弾いているときに、1つとか2つとか入っているのはいいけど、4分音符以上の長さで弾くとダメってことです。 だから、コードの構成音に加えて、ダ~ンって弾くのはもっての他なのです。

もっと、分かりやすく言えば、 とても不安定な「G7」ドミナントってのは、いつも安定した「C」トニックに行きたいって思ってるわけです。 こういうのをドミナントモーションって言います。

どうして、そういうことが起きるかといえば、「G7」の3度である「シ」の音が、「C」のルート(1度)である「ド」に行きたくって行きたくってもうどうしようもなくなる気持によるものなんです。

なのに「G7」の11度って音は、落ち着く先であるはずの「ド」なんです。 とても不安定であってほしいコードなのに、すでに安定してる音が入っているってのは、いかがなものでしょうかってことです。

みんなで心配してるのに、ひとりだけ何だかくつろいでいる奴がいる。 そいつも、ちょっと居眠りするくらいならいいけど、布団を敷いてイビキかいて寝ちゃった~みたいな感じでしょうか。 なんか、例え話がイマイチです。

そう、例えば、サスペンスドラマで、探偵なり刑事なりが「犯人が分かりました。皆さん、部屋に集まってください。」なんてときにです。 さあ、これから推理を説明して最後の最後で犯人を追い詰めるみたいな感じに盛り上げたいところですよね。

ところが、部屋に入るなり犯人がいきなり「私がやりました~テヘッ」って自白しちゃうようなもんでしようか。

やっぱり、推理する過程とかそういうのを、これでもかってほど話した後で「犯人は、あなたです!」ってやりたいじゃないですか~ それを、こんなことしちゃったら、なにもかも台無しです。

ただし、犯人と断定できない程度の怪しさを匂わせるってのはOKなんですけどね。

そんな感じでしょうか~

先ほどの図で、「ファ」も半音下の「ミ」に行きたいって気持ちが多少はあるとは思うのです。 でも、これは大したことないのかもしれません。 きっと、サブドミがトニックに行きたいくらいの気持ちなんでしょうね。

で、11度がアヴォイドなんで、半音上げときゃ文句ないだろうっていうので#11度にしたものが、「リディアン7」です。 って言うより、ダイアトニックスケールのリディアン(サブドミ)をドミナントにしたのかな~

確かに、リディアンはナチュラル7度で、リディアン7は♭7度ですから。 「ちょっと変えたんだよ~」的なネーミングはもう得意中の得意ですからね。

つまり、このスケールには、9、♯11、13度が入っているってことになります。

まあ、こんな調子でスケールとそれに含まれているテンションノートを全てまとめてみました。

それほどの数が無かった~って言うか、数回前にやったばかりの6つのスケールです。 そのときは、ダイアトニックスケールの話がメインだったので、詳しくは説明しませんでした。 軽~く、「ドミナントのときには、ミクソリディアン以外にもこれだけのスケールが使えます。」程度でした。 今回は、この6つのスケールが主役です。

実は、テンションノートと絡めて考えると、ものすご~く分かりやすかったりするのです。

その前に、コード構成音の重要度ベスト3を発表いたします。

  • 第1位、1度。ルートとも呼ばれ、そのコードの基本となる音です。
  • 第2位、3度。これでメジャーかマイナーなのかが決まります。
  • 第3位、7度。トニックなのか、サブドミなのか、ドミナントなのかが決まります。

(あらためて発表するまでのこともなかったんですけどね~) もう、この3つがあれば充分なんですね。第4位以下の5度なんてのはオマケみたいなもんです。

で、先ほどの6つのスケールを見てみます。 6つのスケールに共通した音があることに気がついたでしょうか。 それが、このコード構成音の重要度ベスト3。

具体的な音で言えば、「ソ=1度」、「シ=3度」、「ファ=♭7度」です。

で、どういうことかって言えば、他にいろんな音が入っていても、これさえ揃っていれば誰が何て言ったって「G7」ってことになるのです。 そして、この「G7」を基に「9、♭9、#9、#11、13、♭13」をいろいろな組み合わせで加えているのがこの6つのスケールだとも言えるのです。

さて、「G7」って書いてあったら、どう押さえたらいいのでしょう?

また、これか~って思ったでしょうか。 実は、毎回同じような文章の質問なのですが、答える側のレベルが上がるにつれ、多少違った答えになっていくはずです。 多分、これは私自身が今までず~っと自問自答してきたことなのかもしれません。

で、答えですが、とりあえず「好きなテンションノートを乗っけて押さえる」ってことにでもしておきましょうか。

何が好きか?なんてのは、そのときの気持ちで変わってくるもんです。 暑い日にはビールもいいし、キーンと冷やした日本酒なんてのもいいってのと同じです。

とりあえず、6つのスケールをじっくりと弾いて、その雰囲気をよく味わってみることが大切です。 そのスケールの特徴ってのは、テンションノートの特徴でもあるわけですからね。

だから、そのスケールからできているフレーズを右手でタラタラと弾いているときに、左手はどういったコードを押さえればいいのか分かるはずです。

まあ、そうは言っても何でもありのジャズなので、右手と左手が違うことやっちゃってもそれはそれでアリなのかもしれません。

それから、え~と・・・今、直前に考えていたことを急に忘れてしまいました。

そうそう、♯11のことでした。

私は、あまり使わないですね~全くじゃないですが~でもこれが思う存分使えて一人前なんですよね。 まあ、余裕のある人を使って見てください。 ミクソリディアンとhmp5↓以外の4つのスケールで使えますから。

ってことはですね~この4つのスケールの違いってのは、9度と13度がナチュラルか#か♭かってことです。

ってことは、まずこの9度と13度を極めましょう。

そして、次に#11度に取り掛かるってのがいいんじゃないでしょうか。 ってことで、今回も何とかまとめることができたようです。

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