13.コードからイメージするためのロジック

始めた当初は「すぐにやめちゃうんだろうな~」なんて思ってました。

ジャズピアノの話しじゃありませんよ~ この「練習ノート」のことです。 それがいつのまにか「ジャズピアノ以前編」も終えて、この「ジャズピアノ入門編」さえも、続いているなんて。 とても、小学生のときの夏休みの日記に「今日は何もありませんでした」なんて書いてたとは思えないほどです。

続けるヒケツとしては、あまり読み返さないってことかもしれません。 自己嫌悪にさえ陥らなければ、こっちのもんでございます。

ってことで、いつものように今回もどんな内容にするのか決めないまま、始めることといたしましょうか。

え~と「コードが覚えられないよ~」なんて話をよく聞きます。 また「どうやって覚えればいいの~」なんて質問を受けたりもします。

私のような者に訊くことが、そもそもどうなのかな?っていうのもありますけど~ まあ、「私はどうしたのか?」ってことなら、いくらでもお答えさせていただけると思います。

「コードが押さえられるようになる」には、かなり大雑把に分けて2つの方法があります。

  • 理論を覚えてコードを構築する方法
  • 押さえ方だけを徹底的に覚える方法

まずは、「理論を覚えてコードを構築する方法」からです。 多分、これこそが正攻法というか理想的な方法なんだと思います。

でも、「誰でもできるようになるのか?」とか「簡単なのか?」ってこととは話が別です。

例えば「 A♭7 」。 まず、コードトーンからです。

  • 1度(ルート)は、「ラ♭」。
  • 3度は、「ド」。
  • 5度は、「ミ♭」。
  • ♭7度は、「ソ♭」。

「度」っていうのは、ルートからのインターバル(間隔)のことです。

インターバル

実際に鍵盤で押さえるときには、このまま、あるいは適当に転回させます。

転回させる

さらに、テンションノートです。

  • 9度(2度)は、「シ♭」。
  • ♯11度(♯4度)は、「レ」。
  • 13度(6度)は、「ファ」。

テンションのインターバル

このテンションノートと、先ほどのコードトーンを組み合わせて、テンションコードを作ります。

しかし、組み合わせの数だけ、押さえ方のバリエーションがあるということです。 なにより、イチイチこの理論どおりにコードを構築しながら押さえていくってのが大変そうです。

多分、慣れてくれば一瞬でコードを押さえることができるようになるのかもしれません。 でも、この「慣れる」っていうことは、コードを組み立てる過程を省略して、出来上がったコードを記憶するということでもあるのです。 つまり、最初は理論どおりにコードを組み立てながら押さえていても、最終的には覚えたコードを押さえるだけになってしまうってことです。 人って、面倒なことは、だんだんとやらなくなっちゃうんですよね。

次は、「押さえ方だけを徹底的に覚える方法」です。

私は、この方法です。 「コードを押さえるには、難しいことは抜きにして覚えちゃえばいい」っていう単純な発想です。

基本コードは、「ジャズピアノ以前編」でも言ったように「歌本」で覚えました。 (私の言う基本コードってのは、テンションノートの入ってないコードって意味です。) 「苦労して覚えた」って意識は全くありません。 なんて言うか~「楽しく遊んでいたら自然に覚えていた」って感じです。

しかし、コードって凄いですよね~ 私のような楽譜を弾く訓練をしていない者にも、そこそこピアノが弾ける気分にさせてくれるんですからねっ!

そして、テンションコードです。

最初は、基本コードのときのように「曲でも弾きながら気楽に覚えよう」なんて思ってました。 でも、なんか途中でテンションコードをイチイチ確認しながらって作業がすご~く面倒になってしまって。 「えぇ~い、もう全部覚えてやるぅ~」ってなっちゃいました。

そのとき考え出したのが「練習ノート>ジャズピアノ濃縮編>テンションコード左右別転回形」です。

コードの種類はとりあえず、maj7、m7、7、m7♭5、dim、の5種類に限定しました。 めったに見かけない、sus4、aug、なんてのは出てきたときに何とかすれば充分ですよねっ。

こうやって改めて考えると、私は基本コードもテンションコードも「丸暗記」なんですね~ つまり、私のコードに対する感覚ってのは、鍵盤を押さえる手の形というか、鍵盤の押さえるべき位置に印が付いている図なんです。

では、私はどうやって押さえているのでしょう。

例えば「 A♭7 」というコードを見たとします。 瞬間的に、基本コードの基本形をイメージします。

基本コードの基本形

そのとき、転回形を押さえる必要があれば、瞬時に転回することができます。 (これも歌本の効果なんでしょうか~)

もし、テンションコードを押さえる必要があるときは、2つの転回形がイメージできます。 そして、つぎの瞬間に適当なのを押さえるっ! ものすごくシンプルっていうか、そのために覚えたコードですから当たり前です。

ここで、重要なポイントをひとつ。 いくら押さえ方を覚えるといっても、これじゃあ効果は半減です。

鍵盤の位置だけで覚える

「構成音の度数」も一緒に覚えないとダメです。

度数も一緒に覚える

多くの教則本や理論書も、コードの構成音を把握することが大切だ~って言っていますからね。 ただし、構成音といっても「 A♭7 は、ラ♭、ド、ミ♭、ソ♭」のように、実際の音で覚える必要はありません。 私は、やったことありませんが、多分~大変でしょうね~なんたって12コありますから。

構成音は、例えば「 1,3,5,♭7 」のように度数で覚えておけばそれでいいのです。 これなら「 A♭7 」でも、「 E♭7 」でも、「 C7 」でも、何でも、7(セブンスコード)なら全て共通で使えます。

実際の音だって、「コードを押さえたイメージ」と「構成音の度数」を合わせて考えれば、「3度は?・・・ド」なんてのを瞬時に言うこともできます。 これは「 A♭7 の3度は、鍵盤上のどこにある?」ってのを考えて、「ド」の位置って答えているだけなんですけどね。 コードの押さえ方を覚えるときに、何を押さえているのかも一緒に覚えればいいのです。

そこで私は、転回形を構成音の順番で「 3,13,♭7,9 」(さんじゅうさんななきゅう)とか、「 ♭7,9,3,13 」(ななきゅうさんじゅうさん)と呼ぶことにしました。 別に、こういう呼び方は、私が独自に考えたんじゃありません。昔からあったものです。

そして、コードを押さえるときに、それを強く意識すればいいのです。(叫んだって構いません。) これが出来るようになると、先ほどの「理論的にコードを構築する方法」でさえも、いつの間にか出来るようになっていたりします。

「理論を覚えてコードを構築する方法」と「押さえ方だけを徹底的に覚える方法」、一見まったく別な方法のようにも見えます。 しかし、結局は同じことだったんですね~ っていうか、どちらも目的が一緒なので、当たり前なんですけどね。

  • コードが瞬時に押さえられる。
  • コードの構成音が把握できる。

の2つのことができるようになるんだったら、どんな方法だっていいんです。

う~ん、しかし自分の頭の中のロジックを説明するのって、すごく難しいですね~ 無意識で行ってることもたくさんありますからね~ でも、なるほどな~そうなっているのか~って自分で感心してしまいます。

また、当時の私は、この程度のイメージしか浮かばなかったんだな~とか。 それが、今では「 #9 」とか「 ♭13 」の入ったテンションコードや、何種類かのスケールも同時にイメージできるんだから不思議ですよね~ ってことは、私も少しは進歩しているってことなんでしょうか。

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