12.こうして教則本の山は築かれた

しっかし、いっぱいありますね。 私の安いデジタルピアノの下に積み上げられた教則本を眺めながらシミジミと思います。 もしかすると、私でも教則本が作れるんじゃないの?って。 これらの教則本から良いとこ取りしたのと、私の練習記録やバカ話をミキサーにかければ、なんか簡単にできちゃいそうです。 でも、いまさらね~既に私がド素人だってこともバレてるし、多分売れないでしょうけどね。 いや、正直な話、このサイトを始めようと思ったときに、ちょっとだけ真剣に考えたんです。 教材を作って、HPで売ったら大儲けかも~って。

しかし、上級者と偽ったり、教材にスタンダード曲を使うときの著作権とか、いろんなこと考えてたら、なんだか急に面倒になっちゃって。 そもそも人に教えたりとかは、私のキャラじゃありませんからね。

ということで、今回もグダグダと練習ノートは始まりま~す。

・・・

え~昔から「船頭多くして、船、山に登る」なんてぇことを申します。

これは、指示する人が多いと、物事がうまくいかないという意味のことわざです。

多分、教則本をたくさん持っているから、そんなことになる~みたいな話の流れに持って行くと思うでしょう? しかし、私の場合、そんなに単純じゃありません。

ということで、私が教則本をたくさん持つことになる原因のひとつである、「 m7♭5 」(マイナーセブンフラットファイブ)のことをお話しします。

著者が違う教則本ってのは、同じようでいて多少違うことが書いてあったりします。 だいたいのところ、表現の違いであったり、「初心者だったらこんなところでいいんじゃないの」的なものだったりします。

私も、今でこそは、「そんなのたいしたことじゃない」とか、「好きなほうでいいんじゃないの」みたいに考えることができます。 でも、超初心者のときは、その小さな違いが気になって気になって仕方がなかったのでした。

それが、この「 m7♭5 」に加えるのテンションノートのことです。 そこで、次から次へと教則本を買うという、ごく普通?の誰でもするような?ことを繰り返すわけです。

ということで、私の持っている大量の教則本、教則ビデオ(VHSテープのヤツ)、教則DVDでは、どうなっているのか?ってとこから始めましょうか。 基本的に、 m7♭5 のテンションノートは、 9th、11th、♭13th の3つですが、使い方としては大きく分けて次の4種類です。

  • 9th を使う
  • 11th を使う
  • テンションは使わない
  • ♭9th を使う

どうですか~これだけの豪華なバリエーション。 超初心者だったら、どうしたらいいのか分からずに、泣いちゃいますよね。絶対っ!

さてさて、1コずつ順に説明していきましょうか~

9th を使う

9th を使う

m7♭5 を単純に m7 の 5th が半音下がっただけと考えます。

メジャーの「 IIm7 → V7 → I 」(ツー・ファイブ・ワン)に対して、マイナーでは、「 IIm7♭5 → V7 → Im 」のように、 IIm7 を IIm7♭5 にするのが自然です。

m7 のテンションは、 9th が使い易いので、そのまま m7♭5 でも 9th を使うみたいな感覚なのでしょうね。

11th を使う

m7♭5 に 9th のテンションを加えた m7♭5(9) ってのは、かなりの不協和音なんですね。

この不協感、私は自宅のデジタルピアノで弾くとかなり強く感じるのですが、他所の生ピアノ(「生」っていうのも変な言い方ですが)で弾くと、それほどでもなかったりします。 まあ、こういった感覚的なものって、説明するのが難しいし、人によっても感じ方が違うものかもしれません。

ということで、そんな 9th よりも不協感がマイルドな 11th を使おうってことなのでしょう。

11th を使う

セオリーどおりに 11th を加えることで、 ♭3rd を省略しています。

でもこれって、F7(9,13) と同じですよね。

  • Am7♭5(11) : 1st(ラ)、11th(レ)、♭5th(ミ♭)、♭7th(ソ)
  • F7(9,13)  : 3rd(ラ)、13th(レ)、♭7th(ミ♭)、9th(ソ)

構成音が同じです。 ってことは、 m7♭5(11) は、全音2コ(半音4コ)下の 7(9,13) を押さえればいいんじゃないですか~楽勝楽勝~

テンションは使わない

もう、いきなりのテンション放棄です。

既に m7♭5 は、それでなくても複雑に聞こえる和音なので、このまま押さえちゃいましょうよ~みたいな。

いや~「よけいなことすんなよ~」なんて言われても、天邪鬼な私は「はい、そうですか」ってことは言わないんですけどね~ 言われるほど、やる~みたいな~。

まぁ~これは、素直な人向きってことで。

♭9th を使う

教則本によっては、 ♭9th はアボイドノート(使わない音)で、代わりに 9th を使うなんて書いてるのもあります。

では、♭9th がどこから来てるのかというと、 m7♭5 の代表的なスケールであるロクリアンスケールからです。

Aロクリアンスケール

そして、このスケールの2番目の音がこの ♭9th なのです。 でも、使っちゃいけないなんて言われると、使ってみたくなるのが私です。

♭9th を使う

まあ、なんと違和感のないことか~意外です。 しかし、不協感が魅力の m7♭5 としては、どうなのか?ってことかもしれません。 さっきのアボイドノートの件もあるし。

え~と、なんか忘れてますよね~ そう、 ♭13th のこと。

セオリーからいけば、 13th を入れるときは、 5th を省略するんでしたよね。

でも、 m7♭5 の最大の特徴が、 ♭5th だから、そういうわけにはいきません。 ということは、使いにくいってことでしょうか。

まあ、クローズボイシング(コードを片手で弾く)のときは、そうかもしれません。 しかし、オープンボイシング(コードを両手で弾く)では使えそうです。

で、上の4つの中から、どれを選べばいいのか?ってことですが~ 実のところ、こんなのはたいしたことじゃないんですよ。 まあ、ジャズピアノですからね~いろいろやってみて、好きなの選べば本当はイチバンいいんでしょうけどね。

そ~ですね~強いていえば 9th とか 11th あたりが一般的で無難かもしれません。

でも、教則本をたくさん持ってるからこそ、こんなことも分かったし、こういうことも言えるわけです。

それより、先ほどの「ことわざ」で船が山に登るってヤツ、考えてみたら凄いことですよね。 つまり、船頭が多いと、そんな奇跡みたいなこともできるってことじゃないですか~ ってことは、私もこんなにいっぱい教則本を持っているんだから、ある日突然にもの凄く上手になってるってのも・・・ 多分、ないでしょうね~

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