10.テンションについて、さらに深く考えてみる

前回は、え~と(と忘れてしまったので前回の分を見て)、「テンションコードを基本コードで押さえちゃう方法」ってのを書きました。 まあ、新たな事を記憶するのに、既に記憶しているものを最大限に利用するってのは、記憶法の常套手段ってヤツです。

では、そこから先をどうしたのか? いったい、その当時の私は、どんなことを考え、どんな練習をしていたのでしょうか。 ここに書いているような内容のことは、もう何年も前になるので思い出すのにちょっと時間がかかるのです。

え~と、そうそう、さらに、さらにテンションについて深く考えるのでした。

Cmaj7のコードトーンとテンションノート

一見複雑そうに見えますが、ものすご~く簡単です。

その前に、 maj7 のテンションノートをハッキリさせておきましょう。 そう、9th、♯11th、13thですよね。

これについては、教則本によって載ってなかったり、多少違うことが書いてあるかもしれません。 でも、まあそんなことは、たいした問題ではありません。

全てのコードトーンとコードトーンの間に、テンションノートがあるって大雑把に考えましょう。 それを、1st、3rd、5th、7th、9th、♯11th、13th、の順に鍵盤で示してみました。 あ~、コードっていうのは、テンションも含めると基本的に「一個おき」なんだな~ってシミジミ思いますね。 11th に♯が付いているのが、ワンポイントでちょっとだけオシャレです。

さらに、これを4つずつ区切って、コードネームを付けてみました。 Cmaj7で説明しているのは、黒鍵が少ないので分かりやすいかな~って思っただけのことです。どのキーでも同じです。 単純に、コードの構成音(1st、3rd、5th、7th、9th、♯11th、13th)をルートとしてコードを考えればいいのです。

それらのコードの種類は順に、

maj7 から始まり、m7、maj7、m7、7、m7♭5、m7、そして一回りして maj7 です。

ということは、どういうことなのか? ここに出てきたコードは、全て「Cmaj7」ってことになりませんか?

いきなりなので「???」ってなりましたか?

そうですよね。いきなり「D7 も Cmaj7 だ~」なんて言われて「ハイ」って応えられませんよね。 でも、 D7 の構成音(レ、ファ♯、ラ、ド)は、 Cmaj7 から見れば(9th、♯11th、13th、1st)ってことになるのです。 確かに、 Cmaj7 の特徴である「ミ(3rd)」とか「シ(7th)」が無いので、「Cmaj7 らしさ」には欠けるのかもしれません。 しかし、「Cmaj7 であることを邪魔する音がひとつも含まれていない」ってところに注目します。

ということは、 Cmaj7 が聞こえなくちゃいけないタイミングで、 D7 が鳴っても溶け込むことができるってことです。 「Cmaj7 といえなくもない」ってことは、「Cmaj7 として扱っていいじゃん」ってことです。 つまり、 Cmaj7 って書いてあったら、ここに出てきたコードの好きなものを弾いても構わないってことです。

でも、 Bm7 とか D7 あたりまで来ちゃうと、かなり Cmaj7 らしさが薄らぐというかボヤケてしまいますけどね。

「代理コード(substitute chord)」って聞いたことありませんか?

元のコードと置き換えてリハモナイズすることができるコードってことです。 まあ、いろいろと教則本には難しいことも書いてありますよね。 でも、基本的には「似ているコードを弾いちゃってもいいじゃん」って言うかなりいい加減な理論から来ているのです。

でもこれで、「トニック(tonic)の代理コードは ♯IVm7♭5」なんて書いてあったとしても納得できるはずです。 トニックは I(1度)でキーがCだったら、それの ♯IVm7♭5(♯4度マイナーセブンフラット5度)は、 F♯m7♭5 だからです。

それに比べたら、 IIIm7(3度マイナーセブン)である Em7 が代理コードなのは、ものすごく自然な感じがしてきます。

さて、ここまできたら、ついでにマイナーセブンです。

Cm7のコードトーンとテンションノート

テンションは、9th、11th、13thっていうことで、あとは同じ要領です。

順に、 m7、maj7、m7、maj7、m7、7、m7♭5、そして一回りしてきて m7 です。

何か気が付きましたか?

Cm7 を Am7 に移調してみれば、すぐに分かります。

Am7、Cmaj7、Em7、Gmaj7、Bm7、D7、F#m7♭5、そして一回りして Am7 です。

そう、先ほどの Cmaj7 のと一緒じゃないですか。 というか少しズラしただけです。 ということは、 Cmaj7 と Am7 は「コードトーン+テンション」が全て共通だってことです。 ただ、それぞれのルート、 C とか A から見て、何度って言ってるだけのことです。 まあ、平行調だから当たり前って言えばそうなんですけど。 だから、ジャズは平行調の区別があいまいというか、いい加減なのかもしれません。

丸暗記するなんてこと、いい大人はなかなかできません。 でも、法則みたいなものを見つけると、いままで別々に存在していると思っていたものに関係があったことに気がつきます。 しかも、ちょっとだけ何かが分かったような気にもなれます。

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