6.テンションコードの押さえ方とルール

ジャズピアノは、本当に自分で決めなくては何も始まりません。 ということで、私はまず最初に覚えるべきテンションノートを決めました。

  • 「 maj7 」と「 m7 」は9th。
  • 「 7 」は9thと13thです。

この他にもテンションノートがいっぱいあるってのは分かってるんですよ。 でも、テンションコードを覚えるのにそんなバリエーションがあったら、覚えきれるもんじゃありません。 イチバン使っていそうな(じゃないかな~って思った)ものから、覚えるってのは理に適ってるって思いませんか?

ということで、そろそろ実際にテンションノートの入ったテンションコードを押さえてみましょうか。 と、その前にいくつか説明します。

普通、コードを左手で(というか片手で)押さえようとすると、親指と小指の届く範囲でしかコードが押さえられませんよね。 まあ、人によって手の大きさが違うので、う~んと届く人もいるわけです。 10度(例えばドからオクターブ上のミまで)なんてとてもうらやましい人もいます。 私なんかどんなことしても、9度(例えばドからオクターブ上のレ)までですからね。 もっと小さい人は、8度(例えばドからオクターブ上のド)が精一杯かもしれません。 もしかすると、7度(例えばドからシまで)っていう人もいるかもしれません。

そして、この片手でコードを押さえる方法をクローズボイシングって言います。 これは、7度の範囲でコードを押さえる方法です。 だから、例え7度までしか届かなくてもなんとかなるっていうスグレモノなのです。 つまり、この範囲で3~5声のコードを押さえるのがクローズボイシングってことです。

先ほど、最初に覚えるテンションノートも決めましたが、何声で押さえるかってことも決めておいたほうが練習しやすいですよね。 これも、ピアノ譜で調べたのですが、大体3~4声ってところです。 まあ、普通は4つより3つだけ押さえるほうが簡単そうって考えますよね。 でも、ここはあえて、あ・え・て、4声のほうを覚えることにしました。 どうやら、3声ってのは、4声の1つの音を弾かない簡略化したようなものなんですね。

例えば、ここでこの簡略化した3声を覚えても、あとで4声のヤツも覚えないといけないなんてことになったら、そっちの方が逆に面倒くさいですよね。 まあ、4声を覚えておいて、音が厚くていやだな~なんて思ったら、どれか適当に(本当は適当じゃありませんが)一つ弾かなきゃいいわけですからね。 そして、こういうクローズボイシングで4声のコードを押さえることを、4ウェイクローズ(4 way close)なんてオシャレな言い方もします。

さて、ここで疑問が沸きませんか? 例えば「 maj7 」などの基本コードは既に4声ってこと。 それにテンションノート1つ加えたら5声になっちゃうってこと。 「7」だったら、2つ加えて、6声になっちゃいますよ。 でも、新たに加える音は省略できないので、基本コードの4声のうちのどれかを省略しなくちゃいけないってことです。

これは、いろいろな教則本に載っていて、私ごときが改めて説明するまでのことはないと思うんですけどね~ まあ、そっちを読んでみて、そのあまりの難しさに頭が痛くなったら、またこっちに戻ってきてくださいな~ 私は、ものすごく簡単に、しかもいい加減に説明します。

  • 9th(♭9th、♯9th)を入れる時には、ルートを省略する。
  • 11th(♯11th)を入れる時には、3rdを省略する。
  • 13th(♭13th)を入れる時には、5thを省略する。

コレ最初に知ったときは驚きました。 ルートって省略していいんだ~って。 3rdなんか省略しちゃって、メジャーかマイナーか分からなくてもいいの~って

まあ、エライ先生方が皆さん揃ってそうしなさいって言ってるんで、私もそうすることにしました。 でも、こういうルールみたいなものを簡単に知ることができるって、本当はすごいことなんですけどね。 自分で考え出さなくちゃいけないなんてことにでもなったら、もうどれだけの試行錯誤を繰り返さなくちゃいけないのか分かりません。

え~次に、どうやって押さえるかってことです。

例えば「 Cmaj7 」だったら、このように押さえます。

Cmaj7

4声なので転回形は、当然4つあります。

転回形

コードを押さえるときには、コードが変わっても「なるべく同じ位置で押さえたい」ってのがあります。

ふつう

よりも、

より良い

の方が良いって一般的に言われています。 これは、同じ位置で押さえることにより、押さえるのが楽ってのもありますが、音の連結というか流れがスムーズになるってことが最大の理由です。 だから、この4つの転回形から丁度いいものを選んで押さえていきます。 いや~慣れてくれば、すご~く簡単にできる事なんです。 でも、この転回形が4つあるってのも初心者には挫折原因の上位に入るんじゃないでしょうか。

で、どうするかっていうと、まずこのうち「イ」と「ハ」の2つだけ覚えることにしました。 これだけでも、本当に労力の削減ができるってもんです。

で、なぜこの2つにしたか?ってことですが、 「イ」は、1コ置きでなんとなくバランスが良さそうじゃないですか~だからこれは決定! しかし、1つだけだと、コードが変わったときに同じ位置で押さえられないですよね。 だから、その「イ」から見て位置的にイチバン遠いヤツの「ハ」も覚える。 まあ、この2つを覚えれば、何とかなるんじゃないのって思いました。

こういった感じに押さえていけば、まあだいたい同じような位置で押さえ続けることが可能になります。 教則本なんかでよくAパターンとかBパターンなんて名前を付けて説明しているのもあります。 でも、私としてはこのAとかBとかっていう呼び方、あんまり好きじゃありません。

というか、私がこの2つの押さえ方に絞って覚えようとしていたときには、まだそんな素晴らしい教則本がありませんでした。 だから、私は「イ」を「さんごーななきゅう」って呼んでいます。 そう、ズバリ構成音の「 3rd ・ 5th ・ 7th ・ 9th 」そのままです。 そして「ハ」は、そう「ななきゅうさんごー」そのとおり「 7935 」ってことですね。 これなら、どんな構成音でどんな順序で押さえているのかすぐに分かるじゃないですか。

そして「ドミナント7」のときの「 3rd ・ 13th ・ ♭7th ・ 9th 」を「さんじゅうさんななきゅう」。 「 ♭7th ・ 9th ・ 3rd ・ 13th 」っていう押さえ方を「ななきゅうさんじゅうさん」って言えばいいんです。 どのみち、構成音を覚えなくちゃいけないので、それで呼べば覚えることが少なくなるってもんです。

では、先ほどの「 E♭ ・ Cm7 ・ Fm7 ・ B♭7 」をテンションコードで弾いてみましょう。 そんなに難しくありませんよ~なんて、私も今だから言えることです。 でも、なんとかなります。

ということで、次回は、このテンションコードを実際に弾くってところからです。

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